SHINO's SketchBook
SHINOのときどき絵日記
 

2010年06月14日

  ■告白(湊かなえ)

脱線ついでにもう一冊。旬を逃さないように(苦笑)「告白

Amazonのレビューを見たらかなり酷評されてました。
売れてるのに評判が悪いという…。
確かにえぐい話です。
救いようがない。人間の負の部分だけに注目した作品です。
人は生きているだけできっと沢山の人を自分が思う以上に傷つけているのだろうな、と思います。
けれど、同じように生きているだけで誰かを救っていることもあると思うんです。
その誰かを救っている部分は一切描かれていません。
ただただ誰もが利己的に他人を傷付けています。
自分を守る為に他人を傷付けるというのはもうどうしようもないことなのかもしれないけれど
守りたいものが他人から見ればあまりにもつまらなくて、どうしてそんなことの為に…と思わずにはいられない。
けれどきっと本人にとってはどうしても譲れないものだったりするんでしょうね。

一つの事件を多方面から見る。
被害者の親、加害者、加害者の級友、加害者の家族…と視点が変わる。
独白のように描かれているけれどそれは独白ではなく、常に誰かに対して語られている。
それは日記という形式であっても、誰かに読まれることを想定して描かれている。
多分、全く無意識で人間は保身の為に嘘を吐く。無自覚なままに、己に対してさえ。
誰かに対する語りかけの形式は虚勢も虚偽も交えて真実に目隠しをする。
救いようがない上に薄っぺらい、と酷評されている作品ですが、その薄さが怖いです。
本当の気持ちが全く見えないという部分がとても怖い作品なのではないでしょうか。


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