「パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から」
元警部現パティシエの安楽椅子探偵モノ。連作短編集。
仲良し兄弟で共同経営の喫茶店を舞台に美味しそうなお茶とお菓子の蘊蓄付き。
似鳥作品では一番好きかも。
事件を持ち込んでくる後輩警察官は最初クセがありすぎて引き気味だったけど
読んでる内に慣れてきた。ブラコン兄弟もリアルだと引くと思うけど(笑)
フィクションで頭脳明晰イケメンだと微笑ましい。
4つの事件、それぞれに違和感なく巻き込まれていく描写と
どの事件も結末の切なさとそれを救うスイーツの描写が絶妙。
個人的であったり、社会的であったり、難しい問題をテーマに巧くまとめられていると思う。
理性と感情は別というか、正論だけが答えではないというか、むしろ答えはないというか。
特にラストの話は兄弟の子供の頃のエピソードと併せて本当に難しい問題だと思う。
他人事なら日和るだろう。でも当事者になったらどうなんだ?と。
自分の最愛の人間を殺した犯人に対しても
死刑反対運動だの犯罪者の人権擁護だの出来るのか?っつー話。
出来る人もいるんだろうとは思うけどね。私は無理だな。