SHINO's SketchBook
SHINOのときどき絵日記
 

2013年12月18日

  ■狂う(西澤保彦)

狂う
探偵役の警察官が同じ作品の「猟死の果て」改め「殺す」と同じ装丁で
この作品も「彼女はもういない」を改題での文庫化ですが、原題の方がよかった気がします。
確かに狂う話ではありますが、ミステリなんて犯人側の描写は全て狂ってるようなもんですし。

私より先に読んでいたmasatsu氏に「面白かった?どんな話?」と訊いたら
「結末がよかった。エロ系」という答えが返ってきていて、
確かに結末は(意外という意味で)よかったけどエロ系というよりはグロ系。

犯人のトラウマだとか、環境だとか、
色々要因はあるといえばそれまでだけど
動機に対して、この斜め上を行く犯罪は一体何なんだ。
なんか必然性に欠けるような気がします。
# 狂気に必然は元々ないと言ってしまえばそれまで

小学生時代のエピソードからして、常軌を逸しているとまでは言わずとも
普通の反応ではない感じなので、そこも犯罪に走る伏線になるのかもだけど、
友人達との会話部分が凄く普通なので、その対比が薄ら寒いです。
# いや、どういうのが普通かと言われても困るけど

誰も幸せになれない悲惨な結末の暗く澱んだ話でした。
ま、西澤作品は皆、暗く澱んでるけど。


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