「もいちどあなたにあいたいな」
新井素子8年ぶりの長編だそうで。
何年経っても変わらぬ文体で、
わりと好悪の分かれる文体でしょうが、
私は好きなので、変わらずにいてくれて
安心します(笑)
"あなたは私の知ってるあなたじゃない"という
ごく親しい人に対する違和感の謎を解いていく内容。
新井さんはSF作家なので、設定はSFですが、
内容は家族の葛藤物。
4人視点の一人称で
叔母(父の妹)と母に対する感情(メイン語り部・澪湖視点)
妹に対する感情(澪湖の父視点)
義妹と姑と夫と娘に対する感情(澪湖の母視点)
姪と兄と夫に対する感情が描かれる(澪湖の叔母視点)
澪湖親子の澪湖叔母に対する見方の違いの描写がメイン。
同じ人間なのに視点を変えれば印象が変わるという話。
これは多分読み手にも言える。
強烈なのが澪湖母で、仕事の為に育児を姑と小姑に任せきりにしてしまった結果、
娘が母以上に小姑に懐き、娘との関係がこじれてしまった母親。
この母親に反感を抱くか、共感するかで登場人物に対する印象が全然変わってしまうと思う。
被害者意識が強くて、自己弁護の激しい人なんだけど、
敵はわりとフツーのイヤな姑と生活無能力者夫で、
子供が病気の時は仕事を休まざるを得ない立場なので
読み手の立場によって色んな見方が出来そうな人。
こういうどろどろした感情をあの文体で描くのが新井さんの凄いところではないだろうか。
謎解き係の澪湖の元同級生、オタクの木塚君が良いキャラ。