「ボトルネック」
雨が降る直前の曇天のような…
重くて、暗くて、でも雨ではなくて。
雨が降った方がいっそすっきりするんじゃないかと
そんな事を思わせる。
自分が生まれなかった世界へ紛れ込んでしまった主人公。
自分の代わりには自分の世界では生まれなかった姉がいた。
この世界にいるのが自分ではなく別の人間だったなら、
世界はどんな風に変わるのか。
細かいことを言えば、主人公は既に高校生になっているので
15年だか16年だかの間にもっと大きな変化があるはずだが
物語の中では一見大きな違いはないような「間違い探し」から始まる。
その間違い探しの残酷さが辛い。
ラスト1行があまりに残酷で、だからこそ主人公の行く末に断言が出来ない気がするが
感情移入できるタイプの主人公でもないので客観視して憐憫の想いを抱く自分に薄ら嫌悪。