「夏の夜会」
”友人の結婚式で28年ぶりに再会した小学校時代の同窓生5人が昔話を懐かしんでいるときに
30年前に起こった担任教師の殺害事件の話が話題に出てきた。
未解決の事件の記憶を各自が辿っていって導き出される真相は…” という話。
昨日読んだ異邦人の感想で人間の脳味噌は信頼出来ないと書きましたが
この本でも人間の記憶のいい加減さにより話が展開していきます。
人の記憶というのが想像力の一種であり、恣意的な物であるというのは怖いなぁ…と。
自分の思う自分像と他人から見た自分像にズレがあるのは記憶に違いがあるからだという辺り凄く納得。
そして読みながら自分の過去をふと振り返ってみて
「この記憶ももしかしたら勝手に自分が作り上げただけのものかもしれない」そう考えて怖くなる。
何人かで共有しているはずの思い出も細部や印象を語り合えばきっとそれぞれ全然違う物をもっているんだろうなぁ…。
私は過去一体どれくらい無意識に記憶の封印や改竄を繰り返してるんだろう。
私は幼児期のみならず、小学校時代も中学校時代もあまり記憶に残っていない。
これは記憶力が悪いというより、もしかしたら憶えていたくないことばかりなので
わざと記憶に残していないのかもしれない。
断片的な記憶でさえ、幼児期~小学校時代は楽しい物ではないし…
ただその楽しくない記憶も事実か否かさえわからないんだけど。