「東の海神 西の滄海」
待望の延王&延麒のお話。二人が出会ってから20~30年のお話。
一作目では既に出会ってから500年経っているようなので作品世界では一番古い時代の話ですね。
人間の身勝手さが描かれた作品だと思います。
前作は泰麒のお陰で優しい作品に仕上がっていましたが、今回は切ない作品でした。
人間たった一つの事が欠けているだけで、安泰な時ならば人望も得られる人なのに
いざ何か事が起これば簡単に全てをなくしてしまうんですね。
そして本人は何故そうなったかが理解出来ないものなんですね。
人間ていうのは本当に自己中心的な生き方しか出来ませんね。
誰かの為に何かをしているように見えても常に情けは人の為ならず。
見返りは人によって物品であったり、同等に自分に向けられた相手の行為であったり
そしてなかなか見返りと自覚しにくい己の満足感だったりするものですね。
出典は忘れましたが、「人は誰も他人の為には涙すら流せない。葬儀で流す涙でさえ、
故人の為にではなく、その人を失った自分が哀れで泣くのだ」というのを読みました。
人はまずこういう己の本質を自覚してから生きていかなければならないと思います。
自覚がなければ周囲の人になかなか癒えないような傷を与えてしまってもそれに気付けず、
自分だけが不遇なように思ってしまう。そして何度も同じ愚を犯す。
今回この本を読んで改めて思いました。
私は自分がそう思っているからこれが一般的な考え方だと思っていますが、
世の中には色んな考え方をする人がいるというのも、この年になれば判っているので
もしかしたら全然一般的じゃなくて、読んだ人を不快にさせたらスミマセン。