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■Elicit from CLIE ~ Erotic Treo■

SONY PEG-T600C/L 2001.12 購入

・New CLIE 続々登場

長い間更新をサボっている間に、巷では新たな CLIE が二機種も発売されてしまった。SJ シリーズNX シリーズだ。SJ シリーズは筐体サイズがよりコンパクトになり、手軽に使えるカジュアル CLIE という位置付けだ。NX シリーズは筐体は NR シリーズとほぼ同じながら、ARM ベースの CPU と PalmOS 5 を搭載した最初の CLIE でその処理能力は"最強の CLIE"の名を欲しいままにしている。どちらもそれぞれ魅力的な機種ではあるが、私の食指が動くには至らなかった。軍資金が無いのと T600C に大きな不満が無いというのはあるのだが。

・魅力はあるけど

SJ シリーズは T シリーズより厚みは増したものの、筐体が縦に短くなって表面積がかなり減った。筐体をよりコンパクトにしたことで、可搬性を増すのが狙いだと思われる。実際に、手軽に持ち歩ける CLIE としてそれなりの人気を博しているようだ。私は実機を店頭で手にとってみたが、まず、T600C に慣れているせいか厚みが気になった。あと、縦に短くなったせいかジョグダイアルの位置がイマイチだ。この二点のせいでホールドした感覚がどうもしっくりこない。この辺は慣れれば解消されるのだろうが、SJ シリーズはスペック的には T650C よりも T600C に近いので、T600C から乗り換えるにはパンチ不足だった。NX シリーズは 私はまだ実機に触れていないのでよくわからないが、ARM と OS 5 の威力で従来の Palm とは比べ物にならない高性能を誇るらしい。しかし、NR シリーズの筐体をベースにしている時点で私の興味は引いてしまう。あれでは PDA としては大きすぎるのだ。NX シリーズはキーボードを備え、CF 型の PHS にも対応したので PIM やメール等必要な処理をこれ1台で完結することも可能だ。しかし"ミニノートありき"になった私にとっては PDA にそこまでの機能は要求されない。今現在私が PDA に求めるのはビューワとしての手軽さなのでいくら高性能になっても NX シリーズでは私の要求は満足されない。ということで現状では T600C にそれなりに満足している。しかし、この二機種が発売される以前、一機種だけ私を魅了した Palm デバイスがあった。それが Treo90 である。

・携帯電話内蔵 Palm

Treo は Handspring 社が発売している Palm デバイスで、その特徴は携帯電話を内蔵している点と Graffiti エリアの代わりにキーボードを装備している点だ。しかし、日本では携帯電話の方式が他の国と異なるので個人輸入したとしても、当然電話機能は使えない。最初に Treo180 が発売されたとき日本でも大きな話題になったが、実際に購入した人は極々わずかだったと思われる。

・Treo90 登場

その後、Handspring から携帯電話を内蔵しない Treo が発売された。それが Treo90 である。Treo180 では採用されなかったカラー液晶を搭載し、携帯電話が内蔵されない分コンパクトになった筐体は全ての Palm デバイスの中でも最小クラスとなった。それでいて十分使用に耐えるキーボードを備えた Treo90 は Treo180 以上の話題となり、海外ショップから購入する人が続出、一部国内のショップでも扱われることになった。当の私はというと、周りが Treo Treo と騒ぐので逆に醒めていた部分と、Graffiti の使えない Palm は使い難いのでは?という思いがあったのであまり気にかけていなかった。

・世界最小のキーボード付き PDA

巷の Treo フィーバーには無関心だった私の目に、とある BBS での一言が目に入った。「Treo は世界最小のキーボード付き PDA である」この一言は Treo を「Graffiti エリアの無い Palm」だとしかとらえられなかった私にとって目から鱗だった。この PDA のコーナでも何回か書いてきたが、元々私はキーボード指向の人間である。さらに PDA は小さければ小さい程良いと思う人なので「世界最小のキーボード付き PDA」というフレーズは私を一発で虜にした。この後から私は Treo90 の情報を収集することになる。

・魅惑の Treo

Treo90 の利点はもちろん小さな筐体とキーボードだが、T600C と比べた場合のマイナスポイントももちろんある。
●ジョグがない
Treo180 にはジョグがあったのだが、Treo90 ではオミットされてしまった。m505 から T600C に乗り換えた大きな理由の一つがジョグの存在だったので重要なポイントだ。しかし Treo にはキーボードがあるので何とか操作できるだろう。
●ハイレゾではない
これも m505 から T600C に乗り換えた大きな理由の一つだ。ハイレゾの表示の美しさは捨てがたいがここは妥協するしかないだろう。
●FM 音源がない
私は PDA にサウンドの要素は求めないので音源には拘らない。しかし T シリーズと NR/NX シリーズの CLIE では FM 音源を使ってダイアルトーンを出力し、それを電話の受話器に聞かせることにより電話をかけることができるソフトが使える。歴代の PDA 全てにこの機能がついていた私にとっては無いと違和感がある。この辺りの心情は以前にも述べたと通りだ。しかし、携帯電話がこれだけ普及した現在では、この機能にはあまり意味がないかもしれない。Treo に携帯電話が内蔵されていればそんな心配も要らないのだが無いものねだりをしても仕方がない。この機能もあきらめよう。
このように、Treo90 にも何かと妥協しなければならないポイントはあるのだが、Treo の最大のポイントはやはりキーボードだろう。当初、私は左手だけで操作を完結できることを期待してジョグを備えた CLIE を購入した。しかし、それはもろくも崩れた。予定表の閲覧だけなら何とかなるが、住所録から電話番号を呼び出すには検索の為に読みを入力しなければならない。その際には必ずスタイラスが必要になる。丑やの手帳型ケースを使っていた頃はケースを開ける動作がスタイラスを抜く動作を兼ねていたのであまり気にならなかったが、付属のフリップだけを使うようになってからはスタイラスを抜く動作がかなり面倒に思うようになった。例えボールペンに内蔵したスタイラスを取り出すとしてもワンアクション増えるのに変わりはない。それが、キーボード付きの Treo90 ならスムーズに行えるのではないだろうか。Palm のアプリはスタイラスを使うことが前提になっているものが多いので、Treo90 のキーボードだけでは操作が完結しないという話も聞く。しかし私が使う範囲でのアプリならばキーボードで十分操作できるのではないだろうか。かくして私は Treo90 の購入を決意し、金策を始めた。本来ならば T600C を売ってしまえば一番の財源となるのだが、今回は不安も残るので、T600C を確保したままで Treo90 を買えるくらいまで資金を用意することにした。

・バックライトの不安

当時 Treo90 は日本のショップでも入手可能だったが、どうしても割高になっていた。購入者の体験談を見ると海外から個人輸入している人も多い。その中でアメリカのオンラインショップ Sparco.Com ならば通常価格より 30 ドル安く手に入ることが分かった。折しも円が 110 円を割っていたのでここで購入することに決めた。しかし、ちょうどその頃、既に Treo90 を入手した日本のユーザ達からバックライトが点灯しなくなるとの報告が数件あがっていた。どうもかなりの確率でその症状は発生するらしい。日本のショップなら症状が出た際それを訴える事も可能だろうが、海外ショップでそれが可能だろうか? 体験談では Sparco.Com で購入した Treo90 にバックライトの異常が発症したので交換を申し出たところ、ちゃんと対応してもらえたというのもあった。どちらにせよ、このやりとりは英語でしなければならない。とりあえず私は、発注時の備考欄に「バックライトに問題が発生したら交換に応じてもらえますか?」とだけ書いておいた(もちろん英語で)。

・運命の分かれ道

タイミング良いのか悪いのか、私が発注して数日後、Handspring 社から公式に Treo90 のバックライトに異常が発生する可能性があることを認める旨のアナウンスがなされた。これによると現在出荷を止めて対応中で、不具合を解消した機体は数週間後に出荷が再会されるとの事なので、私は早速 Sparco.Com にメールを出して「まだ出荷されていないのなら、納期が遅くなってもかまわないので不具合対応済みの商品を送ってください」と伝えた(くどいようだがもちろん英語で)。すると「クレジットカードの認証が済んでないのでまだ発送はしていない。あなたが望むなら発送を遅らせて不具合対応済みの商品を送る事は可能だけどどうする?」という返事が来たので、「じゃあ待ちますので、安全な品を送ってください」と答えて、念のためにクレジットカードのコピーもファックスしておいた。これで入手は少々遅れるが、バックライト問題には怯えずに済む。あとは到着を待つだけ……だったはずなのだが、この数週間が仇となった。私はこの間に Treo90 のオーダをキャンセルしてしまったのだ。詳しくは次回の Terrier Kennel 3210 にて書くことにする。

ちなみに"Erotic Treo"は Treo90 を買った際のコーナータイトルにする予定だった名称だ。ネーミングの法則は Elicit from CLIE と同じである。