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■Elicit from CLIE ~ 折り畳み式新型 CLIE 発表■

SONY PEG-T600C/L 2001.12 購入

・新型 CLIE 登場

ここをご覧いただいている方なら既にご存知かと思うが、本日 SONY から新型 CLIE が発表された。二月上旬に開催された PalmSource Conference and Expo でお目見えした折り畳み型 CLIE が正式に発表されたのだ。本来今日は更新するつもりは無かったが、折り畳み式 CLIE について私なりの感想を書いてみたい。

・とうとう CLIE も折り畳み式に

今回発表されたのは PEG-NR70V と PEG-NR70 の二機種。両機種とも折り畳みデザインで違いはカメラユニットの有無となっている。二月のお披露目から正式発表が待たれていたが、T600C のセレブレーションレッド発売にフェイントをかけられつつ今回の発表となった。今回の NR シリーズには注目すべき点が多々あるが、私個人の注目ポイントは、折り畳みデザイン、倍速 CPU、ソフトウェア Graffiti の三点だ。
折り畳みデザインは携帯電話では主流で、コンパクトさと使い易さを両立した優秀なデザインだと思う。実際 PDA でも PocketPC 辺りで採用されていてもおかしくないデザインだ。今回の NR シリーズは、液晶画面を回転させることにより折り畳んだ状態で液晶画面が正面にくるよう工夫されている。普通に折り畳めば液晶画面を保護できるし、反転させれば通常の Palm のように使える。そして開けば携帯電話のようなスタイルで使える。これだけのギミックを搭載しながら折り畳んだ状態で CLIE N シリーズよりも薄いというのは SONY に拍手を贈りたい。ただし、高さはやや高くなり、重さも 200g 超級となって、軽快さという点では CLIE T シリーズに遠く及ばない。私が Palm に求めているのは当にこの軽快さなのでこの点はマイナスポイントとなる。折り畳みによるメリットの一つにキーボードの採用が挙げられるが、Graffiti に慣れない人には便利かもしれないが、当然ながら PSION revo などと比べるとキーボード使い勝手は悪そうだ。折り畳み式という派手な外見は一見して人目を引くが、使い易さにという点では疑問符も残る。

・ARM は採用されず

CPU については Palm 史上最速の Dragonball SuperVZ(66MHz) が採用された。各アプリの動作は速くなっているようだが、多くの人は ARM 系 CPU の搭載を望んでいたのではないだろか。ARM は古くは Newton に採用され、現在でも PSION や一部の PocketPC、HandheldPC にも使われている省電力ながら強力な MPC だ。既に PalmOS5.0 では ARM をサポートすることが発表され今年の第二四半期には製品も発売されるとの情報もある。今後、Palm でも ARM 系の CPU が主流になると思われるが、膨大な従来機との互換性をどうのように保つのかが気になるところだ。

・ソフトウェア Graffiti

ソフトウェア Graffiti は HandEra300 で採用された仕組みで、シルクスクリーンに印刷されていた Graffiti エリアをソフト的に表示するというものだ。これにより不要なときには Graffiti エリアを消してより広く画面を使うことができる。さらに、自分の書いた筆跡も表示されるので Graffiti により入力精度も増すだろう。ソフト Graffiti も今後の主流になってくると思われる。できれば CLIE T シリーズから採用して欲しかったところだ。

・総評

今回の NR シリーズは非常に魅力的な製品であり、SONY の意気込みも感じられる。しかし Palm 本来の持つシンプルさとはほど遠い製品でもある。CLIE は元々その傾向が強かったが今回の NR シリーズでより拍車がかかったと言えるだろう。個人的には音楽再生機能やカメラ機能は必要ないし、折り畳みデザインも私にとってはメリットよりデメリットの方が大きそうだ。今のところ T600C から NR シリーズに乗り換えるつもりはない。T シリーズをベースに ARM や ソフトウェア Graffiti を採用した CLIE の登場を待ちたい。ただ、Handspring 社の Treo のように NR シリーズに電話が内蔵された製品が発売されたら購入を考えるかもしれない。ネットに繋ぐ以上何らかの形で回線が必要で、それが内蔵されていればそれに越したとはない。ただ、今回 NR シリーズと同時に発表された Bluetooth モジュールにも注目したい。今のところキャリアのしがらみで Bluetooth 対応の携帯電話は持てそうに無いが、Bluetooth でのネット接続は回線速度に目をつぶればもっともスマートな形態と言えるだろう。Bluetooth はいまいち普及していないようなので企画自体の今後の行く末が心配ではあるが。
最後に、PDA ではないが、本日 SONY から発表された製品で注目したいものがある。VAIO U シリーズだ。このサイズで XGA もサポートされているらしく、スモールコンピュータファンとしては気になるモデルだ。まだ試作段階とのことだが正式な発表を楽しみに待ちたい。