SHINO's SketchBook
SHINOのときどき絵日記
 

2010年10月15日

  ■最後の一球(島田荘司)

最後の一球
17年前横浜時代の御手洗モノ。
悪徳消費者金融絡みの社会派小説で、更に野球を縁にした男の友情モノ。

過去の判例と裁判官のプライドに関する下りは真偽の程は判らないけれど、やるせない話。
初出が5年前でその時点で作中が12年前、
そして御手洗君の台詞に消費者金融絡みで被害者の自殺が大量に出て社会問題化云々まで
早くても10年は掛かる、というのがあるのでここ数年の過払い請求裁判が10年後の様子なわけですね。

消費者金融全てが悪徳で、書類の捏造や改竄をしてたのかどうかを私は知らないし、
金利に関するグレーゾーンに関しても金融会社が悪いと言うより
法律がおかしいという印象だし、
作中にもちらっとでてくるけど、銀行は困ってる人に貸すんじゃなくて
消費者金融相手に貸してるわけだし。
生活に困って借りる人だけじゃなくギャンブルの為に借りる人も多いっぽいし…
色んなトコロに責任はあると思うんだけどね-。
誰かを悪者にしなきゃ収まらないんだよね-。

現実はどうあれ、作中ではローン会社が悪徳で、泣かされた人が沢山で、
被害者が加害者になってしまってなんだか救いようがないんだけど
そこに友情を絡めてちょっと美談に仕上がってるという感じ。
誰かが救われたらどこかで別の誰かが不幸になってると思うんだけどね。

御手洗君はこんなに丸い人間だったかな-。
エキセントリックさが希薄になってる気がする。


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