SHINO's SketchBook
SHINOのときどき絵日記
 

2010年08月03日

  ■塗仏の宴(京極夏彦)

文庫版 塗仏の宴 宴の支度
文庫版 塗仏の宴 宴の始末
百鬼夜行シリーズ7冊目と8冊目。
支度と始末、作者的には別々の作品らしいが支度が謎提示、始末が解決編でなので
前後編、2冊でワンセットの読み物だと思う。
それ以前に過去のシリーズ全部読んでいないと全然人間関係が解らないけど。
とにかく、主要キャラ、過去登場のサブキャラに加え、新規登場キャラ多数で人大過ぎ。
丁寧に読み進めないと誰が誰だか判らなくなる。
しかも支度は連作短編形式で時系列には語られないので更に混乱。
読みやすいけど整理しながら読むのが大変だった前後編1900頁。

催眠術とか薬物とかで記憶(過去)を改竄されている人多数で
誰が真実を語っているかすら定かでないという本当に整理が大変な内容。

「記憶にも記録にも残らない過去はなかったも同じ」
史実検証的には真実だろうけど
人生に於いてはどうなんでしょう。
記憶というのは失うのではなく、再生されなくなるだけで
脳内にはちゃんと体験の事実が刻まれているということなので、
それらが人格形成に大きな影響を与えていると思うんだけど…。
他人が表面的に記憶を改竄するのは確かに可能かもしれない。
改竄されて、人格や思考形態まで変わってしまうなら怖いね。
自分が自分であるというという認識は何でなされるのか。
考え出すと深みにはまってしまいそうなテーマだ。


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