SHINO's SketchBook
SHINOのときどき絵日記
 

2008年05月28日

  ■さまよう刃(東野圭吾)

さまよう刃
妻を亡くし、男手一つで育ててきた一人娘を蹂躙され殺された父親が犯人の少年を殺害、
残る一人にも復讐するために逃亡しつつ犯人を捜す様子を書いた長編小説。

正義とは何か?がテーマですかね?

警察関係者が
「警察は市民を守っているわけじゃない。
警察が守ろうとするのは法律のほうだ。
(中略)
ではその法律は絶対に正しいモノなのか」
というくだりがあって、誰もが思うことなんだろうなーとしみじみ。

正義とは何かの答えも当然ない。
常に模索しながら生きて、
答えが出ないまま死んでいく。
そしてその過程で理不尽な倫理観を世間に押しつけられ、
精神を病んだまま空虚な生涯を送る事を強いられる人達が沢山存在する。

私も含め、当事者ではないので遺族の想いは計り知れないけれど…。

加害者の少年は己の欲望の為だけに拉致監禁薬物投与強姦を犯し
人の命も虫けら以下に軽く扱うという描かれ方をしていて同情の余地は一片もない。
けれど彼等にも親はいて、その親たちは何とかして彼等を救おうとする。
その親の気持ちも全く解らないではない辺り、少年の残酷さと親の無力さが切ない。
現実に「我が子は絶対犯罪など犯さない」と言い切れるか?
信じる信じないの問題ではなく、
犯罪にも色んな種類があるという事を踏まえて、
私には言い切れない。
だから被害者の親も加害者の親も切ない。
少年犯罪に携わる警察関係者はもっと切実にやりきれなさを感じたりしてるんだろうか。


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