建築探偵桜井京介シリーズ8冊目「仮面の島」
感想というより連想。
幸不幸は完全に主観で、真実がどうであろうと気付かなければ意味はないし
当人が信じた事だけがその当人にとっての事実なのだから、何も知らずにいるのと
喩え知ってしまった事で不幸になるとしても全ての真実を知るのと、どちらがいいのか、
などと神の視点で物事を俯瞰しても無意味なわけだが。
仮に他人の目に愚かに映ろうとも本当に本人が真実を見ない目を持っているならばそれが一番幸せなんだろう。
他人は敢えて真実を教える必要はないし、ましてや贖罪のつもりで告白するのは更に罪を重ねる行為でしかない。
誰かを欺くなら最期まで欺き通す事こそが贖罪。
真実を暴くのは探偵の自己満足でしかないのかも?
真実が救われるモノであるならばいいんだろうけれど。
自分の為が相手の為になるのはそこに相手に対する愛があるときだけだよね。
大抵の場合、愛はあるのだけれど、それは相手に対する愛ではなくて、自分に対する愛だから
自分の為は自分の為だけで相手には不利益しか与えなかったりするんだよね。
相手の命や人生を奪う事も、自分への愛の前では些細な事なんだろうね。
自分を守る為に他人を傷付けてしまうのは罪なんだろうか?
ひとつも罪を犯さずに生きていける命などないのに。