SHINO's SketchBook
SHINOのときどき絵日記
 

2006年02月15日

  ■心のなかの冷たい何か(若竹七海)

結局、島田荘司を読む前に読んでしまった。
心のなかの冷たい何か
15年前の作品で作者自身が「時代に追い越された小説」とあとがきで書いています。
登場人物が携帯を持っていなかったり、パソコンではなくワープロ専用機だったりする辺りと
犯罪の質の変化について「時代に追い越された」らしいです。
読んでいてあまり気になりませんが、毒物に関しては確かに15年前より今の方が一般人も詳しいかもしれません。
逆に言えば時代を先取りしていた小説ではないかと思います。

心のなかに冷たい何かを芽生えさせるのは他人でも
いつしか自分の手で大きく育ててしまう。
でもそれを大きく育てる自分を育てたのも他人で
その人間の本質と環境とがマイナス方向で一致してしまうと
人間はいくらでも歪んでしまえるものなんだろうなぁと思う。

そして自分自身が他人に影響を受けることもさることながら
自分が他人に影響を与える存在であることが怖くなる。
とくに『親』という絶対的な立場にいて『子』という他人に与える影響を考えると怖い。
私自身は「親を憎みもしていないが愛してもいない」と自分で思っていて
この無関心具合はちょっと異常かもしれないと思っているので
ちょっと異常かもしれない自分が『親』をやっていることに恐怖する。
こんな感情は今に始まったことではないが、普段は敢えて避けている心の闇なので
今回のように本を読んだり、またはニュースを見たり、何かのきっかけで再確認させられると恐怖が倍増する。
こんなときが一番生きているのがイヤになるときなので早く封印しようと思う。
私にとってはちょっと地雷的な本でした。

「人間は生きることをあらかじめプログラムされている。バグがない限り死ぬのは大変なこと」
という内容の記述が作中にありました。
私の中にバグはない。そして死ぬだけのパワーを持ち合わせていない。
色々くだらないことを考えながらきっと明日も生きている。


コメント

>この無関心具合はちょっと異常かもしれない
とのことですが。

アタシは逆に、「あまりにも敏感すぎてちょっと異常かもしれない」という気持ちを持っています。

異常とそうでないものの境界線などないのでは?
いろんな価値観があって、いろんな環境で過ごしているわけですし。
少なくとも、他の人がSHINOさんに対して、「それは異常だよ」という権利はないっすよね。

アタシ的にはある種のトラウマだと自覚しておりますが。
「地雷」っていうのは、トラウマと同じかしら?


そして、相変わらず深いSHINOさんに「ウフッ」っと思ってしまうみょんでございました。

Posted by: みょん : 2006年02月16日 11:02

確かに正常と異常の境界線はないし、
ある意味「完璧」なのは異常だとも思うんですが(苦笑)
こういう心の問題は自己処理できない限りどうしようもないですよね。
決めるのは全部己の心だ。

「トラウマ」っていうのは外部的な要因ではないですか?
私のは「トラウマ」とは違うと思う。単なる「甘え」でしょう。
ゴメン。うまく表現できません。
己の恥部を他人に指摘されたようなそういう居心地の悪い気分に陥るのがワタシ的「地雷」です。

みょんちゃんは誤解してると思います。
私は深くないです。ネガティブなだけ(笑)

Posted by: SHINO : 2006年02月16日 17:16