「ハッピー・バースディ」
サイコホラーっていうんでしょうか、怖いという感想をよく聞く本です。
なんか救われない感じのラスト。
主人公が二人で交互に視点が変わって書かれてるわけですが、
被害者が加害者に復讐するっていうのが全体の流れ。
私は加害者側の気持ちの方がわかりやすかった。
加害者側はハッピーエンドだし(苦笑)
被害者側には同情するっていうより憤りを感じてしまう。
精神的に弱くて他人に依存しまくりで、それを疑問に思わない辺り。
話の中でこの主人公は「夫に依存しまくりで夫が右を向けと言ったら三百年でも右を向いている人」
と評されている。それだけでうんざり。
夫が好き好き、大好き!な人なんだけど、精神的に自立出来てない人が他人を愛せると思えない。
いや、愛の形は色々だからコレも愛なのかもしれないけど(苦笑)
怖かったのはこの被害者に「似た人」と評されて出てくる別の登場人物。
凄く普通のおばさん。善意の人。
悪意が全くない人って最強だなーと思う。
そしてこういう人は案外多い。だって普通のおばさんだから。
怖いよ。
「自分が善いと思ってやったことは全て善いこと」って思ってる人って怖い。
被害者も「似た人」である普通のおばさんも自分のインナースペースでしか生きてない。
それでも社会生活はおくれてしまう。やっぱり怖い話?
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被害者は作家なので作中作(あらすじ)が書かれてた。
作中作の主人公はちょっとした誤解で虐めに遭ってしまう。
主人公は虐めた相手に復讐しようなんて考えない。
『どうか、神様、みんなが私のことをわかってくれますように…』とただ祈る。
この主人公を愛せますか?
悪意のない人間は怖い。
いつだって悪いのは自分以外の人間なんだから。