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■サヨナラ?FIVA

CASIO CASSIOPEIA FIVA MPC-206VL 2001.8 入手

・一年も経たずに…

さて、約二ヶ月半振りの更新となった FIVA 関連の記事は衝撃の(?)タイトルとなった。このままの情勢で行けば、五月中にはおそらく FIVA 206VL は私の手元から去ってしまう。一つだけ言っておきたいのは、これは私の本意ではないということだ。最初にも述べたが、FIVA 206VL は私にとって理想に近いパソコンで、不満が全くないわけではないが、仕事に、プライベートに(問題発言か?)何不自由なく使えていた。それが一年も待たずに手放すことになるとは思いもしなかった。今回は FIVA 206VL の数少ない不満点と、206VL を手放すことになりそうな経緯について書いていく。

・ドラフト現象

206VL に採用されているポインティングデバイスはトラックポイントだ。他トラックポイントが採用されているパソコンとしては IBM の ThinkPad が有名である。実際に 206VL には IBM のドライバが使われている。その他にも多くの機種で採用されているトラックポイントだが、実際に 206VL 使うまでは、先入観もあってあまり使いやすいとは思えなかった。しかし慣れるとこれが意外と使いやすい。そして、トラックパッドのようにスペースも必要としないので B5 以下のノートパソコンには最適なポインティングデバイスでないかとも思える。そんなトラックポイントにも弱点がある。それはドラフト現象と呼ばれるもので、トラックポイントに指を触れていないのに勝手にカーソルが動くという現象だ。カーソルは数秒、長くても十数秒で止まるので気にならない人には問題ないかもしれないが、私は購入以来ずっと悩まされた。この現象はトラックポイントを採用している機種では全般に見られるらしく、トラックポイントの宿命として諦めるしかないようだ。

・液晶が真っ白

ある日、いつものように 206VL を起動すると、CASIO のロゴが出ずに真っ黒のままになってしまうという状況に陥った。ハードディスクの回転音は聞こえるので、どうもおかしいのは液晶だけらしい。そのうちだんだんボーっと白くなってきて、最終的には所々に黒い点を残すだけでほぼ真っ白になってしまった。PB2400 のオープン・ファームウェアの画面に近いイメージだ。外部ディスプレイに接続すると Windows 自体はちゃんと起動している。普通に再起動しても液晶は同じ状況。有効な対策を思いつかないまま、底面のリセットスイッチで再起動したところ、普通の状態に復帰した。その後も数回同じ現象が起こったが、いずれも底面のリセットスイッチで再起動することで解決している。頻度的にも希なのでこの現象自体は大きな問題ではないが、ノートパソコン最大の弱点は液晶であることを改めて思い知らされた。奇しくも SHINO のゼフィー君の液晶が映らなくなった時期でもあったので、206VL も液晶が故障すれば手放すことになるのだなぁ、とその時は漠然と思った。まさか、その時がこんなにも早く来るとは思いだにせずに。

・バッテリが持たない

FIVA 2xx の特徴の一つが省電力 CPU Crusoe 搭載による稼働時間の長さだ。実際に入手当初は無線 LAN PC カードを挿したままでも二時間は余裕で使えた。それが最近は一時間弱しか持たないのだ。バッテリは消耗品なのでやむを得ないことなのかも知れないが、丸一年も経たずにここまで消耗すると少しショックだ。前述の通り、206VL は自宅で、会社で、そして出先でとフル稼働しているが、ほとんどの時間帯はバッテリを装着したまま AC アダプタを挿した状態で使用している。この状態がバッテリには良くないのだろうか? 販売店などではノートパソコンがバッテリを外した状態で展示されているのをよく見かける。普段使用するときも AC アダプタを挿した状態ではバッテリを外しておいた方が良いのだろうか? しかしこれでは急な外出や打合せにパソコンを持っていくときにその都度バッテリを装着しないといけないので手間が掛かる。バッテリの残量にも不安がある。フル充電状態になったら、AC アダプタを外し、バッテリを使い切るまでは AC アダプタ無しで使った方が良いのだろうか? この状態にしてもやはりバッテリ残量が気になるし、充電回数の問題も気になる。今までの運用方法はともかく、現状ではバッテリが一時間しか持たない。社内ならまだしも出先でプレゼン用に使う場合バッテリが一時間しか持たないのでは心許ないので、上司にラージバッテリの購入を進言した。すると上司の口からは意外な言葉が発せられた。「本体ごと買おう」

・プレゼン重視?

この回答に私は戸惑った。ラージバッテリを買えば、普段は標準バッテリ、外出時はラージバッテリと使い分けられて、上記のような運用方法によるバッテリの消耗を防げると思っていた。まして、私は 206VL に愛着がある。全然触れていないが MidoriLinux も入っている。できればこのまま使いたかったが、プレゼンをする場合に 206VL の液晶では小さい(8.4")との懸念から、せめて B5 サブノートにせよ、との事だった。新たに買い直すと聞いたときに真っ先に浮かんだ候補機種は FIVA 216XL だったが、上記の理由ではこれもダメということになる。そしてこの間、会社の色々な事情によりまず上司のパソコンを買い換えることになった。上司のパソコンは常時携帯するには少し重く、解像度も 800x600 だったので、新機種を買うことになった。私は機種選定を任されたが、恐らく、次に私に与えられる機種も同じものになるであろう、ということを心の片隅に置きながら機種選定を開始した。

・さあ、どれにしましょ

まず上司の希望は「軽いこと」だった。重さを重視すれば、VAIO C1LOOX などが選択肢に挙げられるが、いずれも横長の変則液晶で、我々のプレゼンには向かない。もう少し待てば VAIO UInterLink などの超小型パソコンも発売されるが、小さすぎるのもプレゼンに向かない。B5 サブノートで軽さ重視なら Panasonic の Let's note R1 になる。また上司が DynaBook のファンとのことなので B5 最薄の DynaBookSS S4、この二機種を最終候補として、いつもお世話になっているベンダーに打診した。返事が来るまでの間、自分なりに比較してみたが、R1 は徹底した省電力設計&軽量設計で Panasonic の意気込みが感じられるパソコンに仕上がっている。個人的にはこちらに惹かれたが、会社で使う場合は S4 の方がバランスが良いと思われた。さらに R1 に使われる CPU が生産終了、各ショップでも品薄とのことで、納期的にも S4 になるかと思っていたが、返ってきた答えは R1 の方だった。S4 の方が納期的にきつかったらしい。

・どうなる私の使用機種?

そんなこんなで先日上司用に R1 が到着した。持ってみると確かに軽い。液晶も 10.4" なのでなんとかなるだろう。恐らく私も五月中にはこの機種を使っていると思う。しかし、前述の通り、R1 の CPU は既に生産終了で R1 自体が品薄なため、実際に発注が掛かる頃には状況が一変している可能性もある。私が 206VL を使い続けられる可能性もわずかながら残されている。

FIVAvsR1

206VL と R1 を並べてみた。206VL は A5、R1 は B5 のカテゴリに属するが、底面積にあまり差はない。

R1 を持ったときの第一印象はやはりその軽さだった。

206VL と R1 を重ねてみた。206VL はバッテリの分だけ奥行きが長くなる。

206VL
(幅) 223mm × (奥行) 197mm × (高さ:最薄部) 21.2mm (重量) 約990g

R1
(幅) 240mm × (奥行) 183mm × (高さ:最薄部) 23.5mm (重量) 約960g

横から見た図。横幅は R1 の方が長い。厚さは見た目ではあまり変わらない。

R1 の蓋の段差は車のボンネットを参考にした衝撃に強いデザインらしい。それにしても R1 はてかりすぎ。