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■Midori Linux on FIVA 206VL

CASIO CASSIOPEIA FIVA MPC-206VL 2001.8 入手

・再インストール計画

206VL の OS 再インストール計画は結構早い段階からあった。まず最初に思い立ったのが、フォーマット形式を NTFS から FAT32 に戻したいと思ったときだ。Mac ユーザ歴が長く WindowsNT についてよく知らなかった私は、特に考え無しに NTFS のフォーマットを選んでいた。しかし、後から色々な情報を見ると NTFS は障害に対する堅牢度は高いが処理速度は FAT32 の方が上ということが分かった。NTFS でないと使えない機能もいくつかあるが、それらのどれ一つとして私は使っていない。「個人ユースでは NTFS にあまりメリットはない」との記述も見かけた。NTFS にこだわる理由は何も無い。しかし一旦 NTFS にしてしまったドライブは FAT32 には変換できない。市販のソフトを使えば変換できるそうだがそこまでの投資はできない。となると全フォーマットして OS の再インストールとなるのだが、FAT32 の方が速いと言っても実際にその違いを体感できる程速くなるとは限らないのでこの時は「次回再インストールには FAT32 にしよう」と決意しただけで実行には至らなかった。

・XP の弊害

続いての転機は WindowsXP プレビュー版のインストールだった。XP のインストールによりパーティションテーブルが書き換えられて B モード Linux が起動しなくなった件と NortonAntiVirus のリアルタイム保護が効かなくなったは既に書いたとおりだ。モードスイッチの件はなんとかなったが、折しも Sircam、Nimda、Badtrans 等のウィルスメールが蔓延していた頃で NortonAntiVirus のリアルタイム保護が効かないのは少々不安だった。XP はプレビュー版でどうせ消える運命だったので、再インストールしてしまうのは問題なかったが、やはり実行するとなると連休でもないと厳しいので、年末年始の九連休で作業しようと決めた。それまでウィルスについては細心の注意を払うしかなかった。

・PC-UNIX インストールへの挑戦

再インストールに際してもう一つやってみたいことがあった。フリーの PC-UNIX をインストールして B モードで起動させることだ。FIVA 20x 系には B モードで起動する Linux 環境が最初から用意されている。しかし FTP クライアントと MP3 プレイヤーの二つのソフトしかなく、実際には RAM ディスクに展開されるものなので、用途が限定される上に拡張もできない代物だった。この環境に満足しない多くのユーザが、FreeBSD や 各ディストリビューションの Linux をインストールしていた。実際に「PC-UNIX で何かをしたい」という訳ではなかったが、ミーハー的理由で挑戦してみたかったのだ。この辺りは Basilisk よりもさらに趣味的と言えるだろう。しかし、この時点での環境は B モードで起動するパーティション(hda3)は 200MB しか確保されておらず、PC-UNIX をインストールするにはやはりパーティションを切り直して OS を再インストールするしかなかった。

・Midori Linux

「FreeBSD? それとも Linux? インストールするとしたらどの OS にしよう?」等と現実味がありそうでないことを考えていたある日、CASIO から 206VL の後継機、216XL が発売されると発表された。216XL の B モードで起動するのは Midori Linux と RedHat Linux をベースにした CASIO 独自の Linux で、今回は Netscape6 と gFTP、Kterm がプリインストールされている。Canna も入っているので日本語入力も可能だ。プログラムの追加も可能とのことだったが、コンパイラなどの開発環境は無く、実際には他のマシンからバイナリをコピーしてくるしかなかった。実用的か? と問われると疑問に残る構成だったが、従来の B モード Linux に比べればはるかに良かった。私のような温いユーザが遊ぶにも丁度良い。そして何より私は Midori Linux という言葉に惹かれた。Midori Linux は 206VL に搭載されている CPU Crusoe を開発した Transmeta 社 が提供しているディストリビューションでフラッシュメモリを外部記憶装置として扱える機能や、省電力機能の ACPI への対応など、携帯機器向けの機能が搭載されている。「Midori」という名称は日本語の「緑」からで、省電力 Linux のもつ「環境にやさしい」というイメージを体現するために採用したといわれている。某氏が言っていたような「ミドリ電化 Linux」ではない。しかし、206VL を入手したばかりの私が 216XL を新たに入手するこどなどできるはずがなかった。Midori Linux だけを入手するなら 216XL を入手した人にリカバリディスクを貸してもらうしか無かったが、そんなあてなどあるはずもなく、Midori Linux の入手は夢のまた夢だった。

・急転直下

ところが、十一月下旬のある日、こちらで Midori Linux のディスクイメージが非公式ながら公開されたのだ。インストールに必要な容量は 400MB だったので、やはり再フォーマットは必要だった。十一月の三連休は旅行に出ていたので、私は少しだけ予定を早めて十二月の三連休でハードディスクのフォーマット及び、OS の再インストールを決行することにした。

・バックアップは慎重に

フォーマットするにはまずバックアップをしなければならない。マイドキュメントはもちろんその他のフォルダに重要なファイルが無いかを入念にチェックする。さらに保存できる設定はできるだけ保存しておく。今回のバックアップ作業では OutlookExpress 関係のバックアップで収穫があった。まずメールのバックアップ。今までは、会社の端末移設などでもそのユーザの ID のついたメールフォルダを探し当ててそれをバックアップするようにしていたが、オプションでメールの保存フォルダの変更ができるのを知った。はっきり言ってこれは今まで知らなかった私が間抜けであったと思う。つづいてはメッセージルールのバックアップ。これはレジストリを保存して、再インストール後 ID を書き換えて再度読み込む方法だ。この二つで面倒だと思っていたメールの移行は比較的楽にできた。バックアップが終了したらいよいよフォーマットと再インストールだ。

・C ドライブを削れ

今回のフォーマットは以下の通りに行った。

 hda3 2000MB (Linux)
 hda1 4000MB (DOS 基本領域) C ドライブ (FAT32)
 hda2 21950MB (DOS 拡張領域)
     21000MB        D ドライブ (FAT32)
      950MB        E ドライブ (FAT16)

hda3 は Midori Linux のインストールには 400MB あれば良かったのだが、他の PC-UNIX をインストールする可能性と、できれば Midori Linux でも大きな領域を使いたかったので、2GB とした。E ドライブが FAT16 なのは Basilisk と連携するためである。System7.5.5 の PC Exchange では 1GB 未満の FAT16 領域しかマウントできないとどこかに書いてあったので、この容量にした。あとは以前に書いたとおりの手順に従って、Me のリカバリの後 Win2000 の新規インストールを行った。Midori Linux は Me をインストールした時点でインストールを行い無事に起動。しかし 2GB 割り当てた領域はやはり 400MB しか使われていなかった。残り 1.6GB はどこへ行った? その後はバックアップファイルの復元、各種アプリの再インストールを順次行い環境を再構築していった。その際、ここなどを参考にしながら、C ドライブの断片化を防ぐため、インターネットキャッシュや Temp フォルダをできる限り D ドライブへ移していった。そして今回一番移したかったのは Program Files である。私は以前から新規にアプリをインストールする際には D ドライブの Program Files にインストールするようにしていた。しかし、InternetExplorer など最初から OS に含まれるアプリはどうしても C ドライブの Program Files に入ってしまう。今回はこれを回避するために FolderMover というソフトを使って Program Files を D ドライブへ移動した。InternetExplorer 等は無事に移動できたのだが、一部アプリが実行時に C ドライブの Program Files の中に Common Files というフォルダを作ってしまうのでこれの移動は諦めた。その後も調子に乗って色々なフォルダを移動しようとして失敗し、Win2000 再インストールの憂き目に遭ってしまったことは、私の恥になるので多くは語らない。

・果たして効果は?

再インストールにより幾つかの懸案事項は解決した。NortonAntiVirus は正常に動作するようになった。FAT32 にして体感的に速くなったかどうかは正直分からない。ただ何となく速くなった気はする。一応やりたいことは曲がりなりにも何とかできたので今回の再インストールは概ね成功と言えるだろう。

さて、今回のタイトルは「Midori Linux on FIVA 206VL」だったはずだが、内容はほとんど「206VL 再インストール顛末記」になってしまった。Midori Linux の使用可能容量を増やしたり、プリインストール以外のソフトを使えるようにする試みについては次回にお伝えしようと思う。